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甲子園校歌録音の思い出

ボイストレーナーの浜渦です。

もう15年~20年前でしょうか?
私は夏の甲子園の校歌録音(試合終了後に勝利校の校歌が流れるあれです)に5年ほど参加させて頂いていました。

ABC朝日放送の広い、確か第1スタジオで毎回録音。
(なぜかレコーディングではなく「録音」の方がしっくりくる)

校歌録音はバス2人、テナー2人でやっていたわけですが、私以外は名前は出せませんが、当時トップクラスの名歌手(いまでも大活躍中)揃いで、参加当初は少し緊張もしましたがとても楽しかったです。

毎年30~40校分ほどの校歌を地方予選の終わってすぐ、作曲の先生が編曲され、1日で、オケ(ブラバン)と歌を撮ってしまうというもの。
夕方まではオケ、そして、17時くらいから歌の録音です。
楽譜は当日録音直前にまとめて渡されました。
校歌ですから初見で歌えるものも多かったのですが、中には失礼ながら…
「なんでこんな変なの?」
「こんな変拍子、高校生歌えてるの?」
というようなものもあり、それなりには苦労しました。

当時はDATは廃れMDが普及した時代。
なのに、老舗放送局はずっとオープンリールを使っていたように思います。
つまり、デジタルレコーディングではなく、アナログ。
つまりは、間違えると「最初からやり直し」
技術さんの職人技でつぎはぎできることもあるが、基本一発撮りで、その方が早かったわけです。

私以外は業界の大歌手、大先輩。
間違えるわけにはいきません(笑)

しかし、撮り直しができないからこその緊張感が、音楽を豊かにし、歌詞や音程を間違いそうになる瞬間からの奇跡的なリカバリ力が働いたりして(笑)人間力を試され、養われたように思います。

その後、放送設備もようやくデジタル化されました。
間違えても、幾らでも途中から撮り直しがきくようになりました。
…その結果。
本人たちは今まで通り、緊張感をもってやっているつもりなのですし、安心しているつもりもないのですが…
「間違いがすごく増えた」のです。

その結果、録音、いやレコーディングの時間が増えてしまったのです。
皮肉なことです。
さらに技術は進化して、音程も修正できるようになっていきました。
その技術の進化に驚くとともに、「そのうち人間が歌わなくてもいい時代が来るのでは?」と思ったものです。
そして、まさにその時代になりつつあります。

私はボイストレーナーとして、「あなたでなくてはならない唯一の声と表現」を標榜しています。
それは、そんなデジタル化の進んだ(この言い方ももはやアナログ?(笑))時代へのささやかな抵抗…いや、そんなことはありませんが、やはり生身の人間にしかできない、正解は人の数だけあっても、認め合えるコミュニケーションを諦めたくない。
そんな思いがあるのは正直なところなのです。
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